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Column by designer #3 “summer”
2019.5.22  # Art # People # ST,CAT

column #3 ”summer”

夏になると、文化村の映画館でウディ・アレンの新作を観る、というのが定例化していた時期がありました。

おそらく3、4年だけのことだったはずなのですが、強い印象として残っているのは、空調が凛と効いた室内や、席に着く前にラウンジで飲む爽やかな白ワイン(映画を観ながらの飲食が禁止だったので)、映画の軽快で小洒落たムードなど、1つ1つの要素が作り物めいていて、その一貫した非現実性が、夏の訪れを盛り上げるのに最適だったからなのだと思います。

芝居じみた行為で夏を迎えるのは、とても楽しいものです。

私には、夏の訪れを祝うために、わざわざ創作する大好きな行為というのがいくつかあります。
単純な喜びに文学的なエッセンスが加わると、途端に特別な感じがしてくるのです。

夏の夜はいつまでも暮れません。一番夜が長くなるのは、6月の初夏の頃。うっすら青い海の中にいるように、ひんやりとした夕方の空気。時計を見るともう夜が始まっている時間なのに、空はまだまだ遠くまで澄んでいます。そんな時間に、茹でたそら豆を食べること。
とろとろと曖昧な緑色の豆は、心地良い丸みを帯びています。
丁寧に薄皮を剥いでいくと、つるりと現れるすべらかな肌。
みずみずしく青い苦みが、空の色とつながっていくようです。

ぴりっと冷えてしんと静かな美術館に、とても暑い日に行くこと。喧噪の街を抜けて排他的な雰囲気の美術館に入ると、きーんと冷えた空気が耳の奥までを満たします。プールの中に頭まで浸かったように、音もしない。いつかの時代に生きた、誰かの描いた作品で埋め尽くされた無機質な空間。
特に、午前中のまだ汚されていない神聖な雰囲気の建物に入ると、全身を浄化されたような気分になります。
閉ざされた箱の中には、夏の幻想のような世界が広がっています。

昼間にシャワーを浴びることが好きです。夏のシャワーは殊更に。汗を流すだけでも気持ちが良いし、さっぱり生まれ変わるような行為で、長い1日を2回に分けて楽しめるような気持ちになります。
リネンのワンピースで窓を開けると、透き通った夕方の風が、乾ききらない髪の間やスカートの繊維の中を抜けていきます。
薄化粧をしたら、ぺたんこのサンダルを履いて、小さな鞄を持って、お気に入りのレストランに出掛けます。そのまま、気まぐれに夜遊びに向かうのも楽しそうです。

ウディ・アレンといえば、文化村で観た映画の1つである「ミッドナイト・イン・パリ」は、多くのアーティストが集った狂乱の20年代のパリを描いています。
ヘミングウェイが書いた「移動祝祭日(Moveable Feast)」は、その騒々しくて創造性に満ちた時代感を感じられるエッセイですが、彼の、普通の(若々しく貧しい)日常を物語のように変えていくさま(あるいは麗しく回想しているさま)は、すごく素敵です。

パリをFeast=祝祭日、饗宴と例え、その可能性に溢れた、刺激的な場所で(そしてそこで過ごした記憶は、Moveableであり、いつまでも付いて回る)、彼が、何かが生まれようとしている前の「何もなさ」に幸せを見出しているのが、悩ましくもとても自由で心地良いのです。

本の中で、ヘミングウェイが、その日見つけた素晴らしい貸本屋について妻に話すシーンがあります。
妻はツケの支払いを今日の午後に払ってきた方が良いと言います。そして、2人の会話は続きます。
“「もちろん、そうするとも」私は答えた。「2人でいこう。それからセーヌまで下って、河岸を歩こうじゃないか」
「そうね、セーヌ通りを歩いて、画廊やお店のウィンドウをみんな覗いてみましょうよ」
「そうしよう。足の向くままに歩いて、知ってる顔のだれもいない、こっちの顔も知られていない、新しいカフェに入ってみるんだ。そこで一杯やろう」
「2杯やってもいいじゃない」
「それか、どこか河岸を変えて食事をしてもいい」
「それはだめ。貸し出し文庫への支払いで、お金が要るんだから」
「じゃあ、うちにもどってきて、ここで食べよう。素敵な食事をして、協同組合で買ったボーヌを飲もうじゃないか。ほら、窓の外に見える協同組合、ボーヌの値段もウィンドウに貼ってあるもんな。それから2人で読書をして、ベッドにもぐりこんで、愛し合うんだ」”

夏は、私にとっての移動祝祭日なのです。

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Column by designer #1 “pure”
2019.4.26  # Art # Food # People

column #1 ”pure”

先日、小林エリカさんらが参加するクリエイティブガールズユニット「kvina」による子育てにまつわるものを考えるプロジェクト「POR BEBO」がこの夏から開催する予定だという、未就園児を育児中のお母さんお父さんに向けた朝食会「rondo」のプレイベントに参加しました。

会では、Emily Dickinsonの詩 No.254をモチーフにした、オープンサンドをいただきました。Emily Dickinsonが生前家に閉じこもって制作をしていたという境遇を、産後の母親たちがあまり家から出られない状況と重ね合わせ、彼女の作品が選ばれたのだそうです。

食事というのは物を食べてお腹を満たすだけの行為じゃないな、と人と暮らすようになってとても強く感じるようになった私にとって、丁寧に、言葉と食材を噛み締めながら食べる朝食は、食事の在り方に新しい可能性を教えてくれるものでした。
食事という行為に、空気や理由や時間や恍惚を食べる他に、言葉や意味が加わると、本能を満たすと同時にとてもロジカルなパズルのような面白みが生まれます。

さて、その日に食べたサンドイッチも素晴らしかったのですが、一緒に飲んだノンカフェインの「pukka pure」というハーブティーもとても美味しかったので早速購入しました。
カレーなどに良く使われるカルダモンやインド料理に欠かせないフェンネルが、まるで草で鼻腔をさわさわとなでるかのように、強く香ります。
この「pure」という商品名は、様々な効用を持ったハーブの力が、アーユルヴェーダのように身体が安定した状態=pureな状態に持って行くという意味に繋がっているのだと思いますが、そういえば、このpure(純粋)という言葉は、まっさらな何もない状態だけではなく、最も完成された状態のことも示すのだな、ということを考えました。

pureという言葉から、白い色が思い浮かびます。
先日、上野の西洋美術館で行われていたLe Corbusierの展覧会に行きましたが、Purism(純粋主義/ピュリスム)を提唱し、後にシンプルで機能的な建築や家具を生み出したコルビジェの作品でも白が重要な役割を担っています。
例えばサヴォア邸に代表される、機能的かつ美しく造られた、白い建物。不必要な装飾を排した白い住宅を、最も純粋であり、最も完全なものだと、彼は考えたのでしょう。

そして、白い壁が覆うことで、そこには、意義を持った空間が作られます。その中で、人々が何らかの営みを行うのです。最も完全な場所は、日々変化し成長していく。それは、pureが完璧でありながらも、より良くなっていく余白でもあることを示しているのではないでしょうか。

今、目の前には、曇った乳白色の光を閉じ込めた白いレースカーテンがあります。むこうとこちらの曖昧な境界のようなカーテン。ぼんやりと緑が滲んでいます。
外を感じさせる空間は、外が見えない空間よりも、中にいることを強く自覚させます。

朝食会で選ばれたEmily Dickinsonの詩の中では、「希望」には羽があり、それは同時に魂に宿るもの、と唄っていました。サンドイッチの上で、軽やかな白いチーズに例えられた希望でしたが、彼女にとって、軽やかな翼を持って外の世界に羽ばたくことと、心の内側に羽ばたくこと、それはどちらも同じように壮大なことだったのではないかと思います。

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Iori Nishiwaki inspires atelier ST, CAT
2017.7.18  # Art # People

ST, CATがインスピレーションを受けたクリエーターを紹介します。

西脇衣織の作品を初めて観た時、私たちの心には、もやもやとした曖昧な色のけむりの中にいるような、言葉に表せない気持ちが芽生えたのでした。
寂しいような。切ないような。懐かしいような。

言葉や形になる前の、もっと原始的な気分。

西脇衣織(@iorinishiwaki)は、1995年生まれのアーティスト。東京を拠点にコラージュとドローイングで作品制作を行う。2016年夏 初の個展「愛のみたて」を開催。
彼女の心を揺り動かすのは、ジョゼフ・コーネルやジョージア・オキーフといった芸術家。
今気になっているのは、彼女が存在するよりもずっと前に活動していたバンドの、たま。

本日より、高円寺pockeにて、個展も開催中です。

西脇衣織 個展「愛のいびき」
2017年7月18(火)〜7月23(日)
13時 – 21時 《最終日11時 – 18時》

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Zhong Xian inspires atelier ST, CAT
2017.7.14  # Art # People

ST, CATがインスピレーションを受けたクリエーターを紹介します。

私たちは、Zhong Xianの作る不思議なアニメーションの虜です。
“EAR”は、彼女がST, CATのために制作した特別なムービーです。

“EAR” は、2016年から2017年に私の心の中にあった事柄を描いた作品です。人間の感覚中枢にとって、耳はすべてのものを捉え形成し曖昧に変え、大袈裟に変容させる最も繊細な器官だと思います。すべての記憶は耳を通す(注釈:annotationを付与する)ことで、正確な写真であったとしても抽象的になってしまいます。私は、Seikoの作るイヤリングのデザインの中にある、丸、線、キューブからインスピレーションをもらいました。ストーリーラインと音は自分自身の経験からきています。ストーリーは3段階に別れています。始めは、注釈:annotation。次に来るのは、私の記憶。そして最後には、ある人に向けたメッセージが出てきます。

Zhong Xian(@t_ipy) は、1994年生まれの、台北で活動するアーティスト。

EAR from Zhong Xian on Vimeo.

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Ayaka Endo inspires atelier ST, CAT
2017.7.14  # Art # People

ST, CATがインスピレーションを受けたクリエーターを紹介します。

2017年1月に行われた、omotesando ROCKETでのST, CAT exhibitionにも参加してくれたアーティストのayaka endoが生み出すグラフィック。
可愛らしいのに、とても大胆。その危ういバランスに心を奪われています。

ayaka endo (@ayaka_is_end)は1994年生まれのアーティスト。東京藝術大学デザイン科に在籍しながら、平面作品を主に制作。彼女はいつも街や旅先で、自然や植物、美しいものや可愛いものから創作のきっかけを探っています。

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吉岡美樹 inspires atelier ST, CAT
2017.7.4  # Art # Atelier # People

ST, CATがインスピレーションを受けたクリエーターを紹介します。

世田谷のatelier ST, CATにて、7/16(日)~7/23(日)の期間、映像作家、吉岡美樹がST, CATをイメージして制作した映像作品を上映します。

吉岡美樹
1996年生まれ、武蔵野美術大学映像学科在学中の彼女が写真を使って作るGIFアニメーションは、不可思議でユーモラス。影響を受けているのは、小津安二郎・増村保造といった監督による、古い日本映画。
@oomikidayoo

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Towa × ST, CAT photo exhibition
2017.7.4  # Atelier # People # Photography

ST, CATがインスピレーションを受けたクリエーターを紹介します。
世田谷のatelier ST, CATにて、7/16(日)〜7/23(日)の期間、フォトグラファーのTowa(@photowaforever)がST, CATのために撮り下ろした写真作品を展示いたします。

まさに永遠のように広がる彼女の自由な発想。
ティーネイジャーのフォトグラファーである彼女のインスピレーションの源は、例えば、誰かが小指を動かすクセであったり、とても些細な、それでいて見つけるとワクワクしてしまう事柄。生や死といった、大きな人生のうねりと僅かに繋がっている日常の欠片。