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Column by designer #1 “pure”
2019.4.26  # Art # Food # People

column #1 ”pure”

先日、小林エリカさんらが参加するクリエイティブガールズユニット「kvina」による子育てにまつわるものを考えるプロジェクト「POR BEBO」がこの夏から開催する予定だという、未就園児を育児中のお母さんお父さんに向けた朝食会「rondo」のプレイベントに参加しました。

会では、Emily Dickinsonの詩 No.254をモチーフにした、オープンサンドをいただきました。Emily Dickinsonが生前家に閉じこもって制作をしていたという境遇を、産後の母親たちがあまり家から出られない状況と重ね合わせ、彼女の作品が選ばれたのだそうです。

食事というのは物を食べてお腹を満たすだけの行為じゃないな、と人と暮らすようになってとても強く感じるようになった私にとって、丁寧に、言葉と食材を噛み締めながら食べる朝食は、食事の在り方に新しい可能性を教えてくれるものでした。
食事という行為に、空気や理由や時間や恍惚を食べる他に、言葉や意味が加わると、本能を満たすと同時にとてもロジカルなパズルのような面白みが生まれます。

さて、その日に食べたサンドイッチも素晴らしかったのですが、一緒に飲んだノンカフェインの「pukka pure」というハーブティーもとても美味しかったので早速購入しました。
カレーなどに良く使われるカルダモンやインド料理に欠かせないフェンネルが、まるで草で鼻腔をさわさわとなでるかのように、強く香ります。
この「pure」という商品名は、様々な効用を持ったハーブの力が、アーユルヴェーダのように身体が安定した状態=pureな状態に持って行くという意味に繋がっているのだと思いますが、そういえば、このpure(純粋)という言葉は、まっさらな何もない状態だけではなく、最も完成された状態のことも示すのだな、ということを考えました。

pureという言葉から、白い色が思い浮かびます。
先日、上野の西洋美術館で行われていたLe Corbusierの展覧会に行きましたが、Purism(純粋主義/ピュリスム)を提唱し、後にシンプルで機能的な建築や家具を生み出したコルビジェの作品でも白が重要な役割を担っています。
例えばサヴォア邸に代表される、機能的かつ美しく造られた、白い建物。不必要な装飾を排した白い住宅を、最も純粋であり、最も完全なものだと、彼は考えたのでしょう。

そして、白い壁が覆うことで、そこには、意義を持った空間が作られます。その中で、人々が何らかの営みを行うのです。最も完全な場所は、日々変化し成長していく。それは、pureが完璧でありながらも、より良くなっていく余白でもあることを示しているのではないでしょうか。

今、目の前には、曇った乳白色の光を閉じ込めた白いレースカーテンがあります。むこうとこちらの曖昧な境界のようなカーテン。ぼんやりと緑が滲んでいます。
外を感じさせる空間は、外が見えない空間よりも、中にいることを強く自覚させます。

朝食会で選ばれたEmily Dickinsonの詩の中では、「希望」には羽があり、それは同時に魂に宿るもの、と唄っていました。サンドイッチの上で、軽やかな白いチーズに例えられた希望でしたが、彼女にとって、軽やかな翼を持って外の世界に羽ばたくことと、心の内側に羽ばたくこと、それはどちらも同じように壮大なことだったのではないかと思います。